産みの苦しみ
ご縁あって、2,000字のエッセイを書く機会がありました。
2回投稿し、20歳前に行ったアラスカ旅と、祖父のことをお題にしました。
アラスカのほうは、楽しくもほろ苦い想い出が詰まっていたので、わりとすぐに2,000字を超えてしまい、削るのが大変でした。
祖父のほうは真逆で、文章を考えるのがとても大変でした。
あらかじめ、こんなことを書こうか、とA4用紙にアイディアを無造作に並べましたが、パソコンを前にしてもなかなか文が始まりませんでした。
机の前を行ったり来たり。
ちょっと体操をしてみたり。
うーん、うーんと悩みながら少しずつ進めていきました。
最終的に出来上がったものは、読んでいただいた人に喜んでいただけたので良かったのですが、なぜこんなに苦労したのだろうと考えてみました。
アラスカのほうは、すらすら言葉が出てきたんです。
というのも、この旅については、今までに幾度となく考えを巡らせていました。
感情が大きく揺さぶられる体験を多くしたので、印象にも残りますし、どうしてああいう気持ちになったのか、など何度も考えました。
私のなかでの整理が、書く前からだいぶん出来ていたのだとおもいます。
だけど、祖父のほうは、祖父に対する自分の感情とか、想いを掘り下げたことがなかったことに気がつきました。
書きながら、ああ私はこんなふうに祖父のことを想っているんだな、とあとから気付かされる形となりました。
結果として満足いくものが出来上がりましたが、これこそが産みの苦しみか! と知ることができました。
たった2,000字の文章ですが、考えに考えて作り上げたときには気持ちがいいものですね。
想像していたよりもずっと。
《おしまい》