料理をつくるのはめんどうくさい。くさくさい。
今日もご飯作らなきゃじゃないか!
こういう感情が持ち上がるということは、わたしがふだん料理をしていない何よりの証拠。
母が2週間、1か月家を空けるときにだけ、わたしは主婦になる。
ご飯作らなきゃ
と考えるのはけっこう気持ちが波立つ。
でも、作り始めるとなんだか面白い。
不思議なんだけど。
固い野菜が熱で柔らかくなり、フライパンの上で香味が香るさまを体感するのは飽きがこない。
何よりも、美味しいと言って食べてくれる、もしくは無言でもすべて平らげてくれる家族がいることが嬉しい。
しゃーなし、あしたも作ってやろうか。
そんな気分になる。
しばらく作っていると、欲も出てくる。
素材の味を活かせる料理がしたい。
そういう類の料理は、きっといちばん技術がいるもので、それこそ長年母たちが培ってきた経験がものをいうのだろう。
いまのところのわたしの調理は、味付けでごまかしている気がする。
もっと、穏やかだけれど、ぐっと、おいしい、と思えるようなものを作りたい。
これも鍛錬かしら。
まだ嫁ぐ予定もないが、未来の家族に、滋養のある食べ物を最低限は振る舞えるよう、これから努力していこう。
《おしまい》